真珠
最近でも時々はテレビを観るが、報道番組などを見ていると、今の時代と言うものが少しは見えてくる気がする。
 
少しというのは、テレビは現実をそのままカメラに収めたものではなく、テレビ局側の都合で、様々な演出が施されているからだ。テレビ画面から見える世界と言うものは、必ずと言っていいぐらいに脚色されていることぐらいは、世の中の殆んどの人が知っていることだと思っていたが、本当のところ、そうとは限らないのかも知れない。
 
よく主婦層の会話の中に「テレビで言ってた」或いは「テレビでやってた」というものがある。実際にヤラセといわれる構成は、バラエティ番組だけではなく、真実を語るが如くに視聴者に見せているドキュメンタリー番組やニュース番組、また、生番組などでも多く見かける。
 
NHKと言えども、それは例外ではなく、私がホストになる以前に働いていた新聞店に撮影に来たときも、大手家電メーカーに撮影に来たときも、様々な場面において、実に細かい演出を要求してきた。ましてや民放が撮影して放送する、ホストクラブを特集する番組なんて、その内情を知っているものから見れば、嘘に嘘を塗り固めているとしか思えない演出構成を行なう。
 
放送後に、出演したホストたちの口から不平や不満を聞かされることもあれば、そんなホストの一人がインタヴューに対して、彼自身がとことん創り上げた清潔そうなイメージや、ありもしない誠実さを広言したりもする。
 
テレビ局側の演出はさておき、ホストの発言だけを見ると、お客とは決して寝ないなどと答えていたホストが、実情は、指名を取る為なら相手構わず誰とでも房事に及び、仲間内からは、店名の後ろ半分を付けて、ヤリ〇〇と呼ばれていたり、自分を指名すれば安く会計を上げるなどと言っていたホストが、実際は、多くの客に高額ボトルを何本も入れさせていたり、お客の話を親身になって聴き、悩みや相談事を受けると言っていたホストが、現実は、過去に何人ものお客を風呂屋に沈めた無情なホストだったりする。
 
そもそも、テレビに出たがるようなホストは、日本全国の歓楽街に多々存在するホストクラブへ勤務しているホストたちの、ほんの一部の人間にしか過ぎない。そのためか、テレビに出るような目立ちたがり屋のホストたちが創り上げている彼らのイメージは、現実に私が見て来た多くのホストたちからは全く見出すことが出来なかった。
 
もっとも、私が見て来たホストといっても、東京と横浜にあった僅か十数店舗と、旅行中に寄った地方の小規模店ぐらいなのだから、余り強くは提言せずにおこう。
 
しかしながら、家族や知人、或いは親戚などに、ホストをしているなどという事を知られれば困るものも大勢いるだろうし、持っている客層によっては、テレビ出演がマイナスになるものだっている。知名度はあるが仕事が少ない俳優や歌手が、やむにやまれず勤める場合もあり、また、現在第一線で活躍している芸能人の中にも、元ホストは結構おり、それを公表している芸能人など、その中の一部にしか過ぎない。
 
つまり、テレビでしかホストを知らない人たちのホスト観は、現実に存在するホストたちと、大きく乖離しているだろうことには間違いないと思える。
 
そうした画面の中のホストたちが、もっともらしく口にする言葉の中に、ホストの条件といったようなものが有るが、本当のところ、ホストになる為の条件なんてあるんだろうか。たとえ不細工であっても、チビと呼ばれるぐらいに背が低くても、見るからに暑苦しいほど太っていても、生まれてこの方まったく女性に縁がなかった男でも、或いは女でも、誰だってホストになることは出来る。
 
要は、どこかのホストクラブの面接にさえ通ればいいのだ。ただ、それだからといって、直ぐにこの世界で食べていけるかと言うと、これは全く別の問題になる。
 
ホストがホストとして生き残っていく為には、そのホストは、自分のお客を作らなければならない。それがホステスなら、たとえお客がいなくても、売れっ子ホステスのヘルプにつくことで、ある程度の高額保証が貰える。私が新人ホストの頃の、銀座のホステスの場合で、ずぶの新人ホステスでも1日2万円近い保証を出す店もあった。
 
だが、新人ホストの保証は、ほんの雀の涙程度しか貰えないし、早い時間のホストに至っては、保証などというものは全く存在しない。

私がホストとして最初に勤めた店、コマ劇場裏のラムールでも、毎月のように多くの入店希望者がやって来たが、せっかく内勤(事務や会計、ホストの管理などの雑務を行う)から採用の言葉を受けても、持って一・二ヶ月、場合によっては一日とか二日、酷いものになると数時間で辞めてしまい、半年ほど経った頃に振り返ってみると、私より後から新人として入店したホストは、たったの一人しか残っていなかった。
 
実際、多くの新人ホストが辞めてしまう理由には様々なものがあるだろうが、結局のところは、全くお客が出来ないために諦めてしまうものが殆んどであろうかと思われる。

深夜ホストの場合、余程の器量を持っているものは別として、否、持っていたとしても、それだけでお客を掴み、それを維持していくのは並大抵のことではない。そのため、売れないホストは勿論のこと、売れているホストに至っても、お客を掴んで離さないようにと、多種多様な行動に走る。
 
そんな生き残りをかけたホストたちの、まことに愚かで滑稽にも見える部分の内の、一つの例をここに挙げておこう。
 
『およげ!たいやきくん』が日本中を席巻していた頃、新宿歌舞伎町のジェネラルと言う店では、男性自身に真珠を入れることが流行っていた。しかし、新人や売れないホストたちには、高額な美容整形(※)代など用意出来るわけも無く、バーカウンターに置いてあったアイスピックを使用して、人造真珠を埋め込んでいたそうだ。
 
『覚醒』で紹介をした屋敷は、この店でそれこそ何人ものホストに対して、真珠を埋めこむ作業の手伝いと、術後の指導をしてやったと自慢していた。
 
では、簡単に手順を説明しておこう。まず、小粒の人造真珠を用意して、これを十分に度数の高い蒸留酒で消毒をする。廉価な人造真珠なので、熱処理をすると上皮が剥がれてしまうからだ。
 
この店ではアイスピックを使っていたが、これは千枚通しでも構わないそうだ。そのアイスピックの針先全体を火で焙り、これも充分に消毒しておく。微量でも雑菌が入ると、そこから化膿して大変なことになるそうだ。
 
次に、熱いおしぼりで丹念に拭いて清潔にした陽物の、亀頭から1・2cm程度の根元よりにあたる陰茎部の上皮を、親指と人差し指でつまみ、出来る限りに上方へと引っ張りあげて、充分に皮が薄くなったところを見計らったら、迷わずに、その薄くなった部分へ、先程消毒しておいたアイスピックで真横に刺し貫く。
 
それを抜いたら直ぐに消毒済みの真珠を、アイスピックで開けた傷口へと、親指を使ってねじ込む。通常は陰茎の上部に一個だけ入れることが多いが、人によっては左右にも入れて、計三個を埋めこむこともあるそうだ。その場合でも同じように陰茎の左右へ上皮を引っ張り、アイスピックで刺し貫くといったことを行う。つまり、先程の施術を、あと二回も繰り返すわけだ。
 
真珠を入れる作業はこれで終わった訳ではなく、このあとが最も重要なところとなる。

屋敷から聞いた話によると、陰茎の上皮の中に強引にねじ込んだ真珠は、そのままにしておいても傷口が癒えると、そこで完全に固定してしまって、たいして女性を悦ばすことが出来ないため、直径1㎝四方位にかけて海綿体と上皮の間に円形の隙間を作り、その中を真珠が自由に動けるようにしておかなければならないそうだ。
 
真珠を入れた翌日から、そのホストは、毎日毎日暇さえあれば、陰茎の上皮に納めた人造真珠を、強烈な激痛を堪えながら、何週間にも渡って円形に転がし続けなければならないとは、いくら女性を悦ばす仕事を選んだとはいえ、この私が言うのもなんだかおかしいが、何とも哀れに想えてしょうがない。

(※注:これは四十年近くも昔に、一握りの深夜ホストたちが実践した、真に愚かで危険な行為ですから、絶対に真似はしないで下さい。また、筆者はその結果起こりうる可能性がある、どのような被害・損害に対しても、一切の責任を負いません)

※美容整形

 
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